美どり和裁
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洗い張りについて ほどいて、反物の状態にしてから洗う方法です。

水と洗剤を使用するため、水性汚れ+油性汚れどちらも落とすことができます。

一番の利点は、蘇生効果です。特に、絹の着物の良さは、洗い張りをすることによって蘇生します。光沢も生地の風合いも格段によくなり、見た目でも、触ってみてもはっきりわかります。
さらに、洗い張りすることで元の折り目の筋もほとんど消すことができます。

当店では、お仕立てを前提として洗い張りを承りますが、もちろん洗い張りだけの加工でもでもかまいません。

お仕立て前の

洗い張りの作業と手順


当店にて

品物の確認

先ずは、洗い張りする品物の全体の採寸を致します。

次に、

  • お客様のご希望寸法に対して、長さや幅が足りるか縫い込みの確認
  • 足りない場合、『接ぎ』するなどの方法も考えます。
  • シミがあったときは染み抜きするか、必要以上のしみ抜きをしないで良い方法も考えます。
  • 胴裏や八掛などの裏地を新しくするかご希望を伺います。
  • 寸法がよく分からない方には、お持ちになった着物や襦袢を採寸してご希望寸法を決めます。これから新しくご自分の着物を作る方には、ヒップや裄を採寸してその場で寸法を決めます。


新潟の専門業者へ


解き

特殊な器具やはさみを使って、ほどきに専門知識を持った加工者が穴などを空けないように生地の様子を見て丁寧に着物やコートをほどきます。時間の掛かる物は、半日掛かる物もあるのです。


端縫い(ハヌイ)

ハヌイ用の専用ミシンを使って、地の目に沿って丁寧にハヌイします。※このハヌイが悪いと後で生地のよれを出したり、地の目がゆがんだりしてしまうので慎重に適度に細かなミシン目で縫製します。


洗い

原液洗剤を入れた40度くらい湯の中でしっかり手でもみ洗いして反物の汚れを落とします。この際、生地のスレを出したり、箔を傷めないようにブラシでこするような方法は取っておりません。
洗剤は、いろいろテストして決めた絹専用の洗浄力の高い特殊洗剤です。


すすぎ

洗剤をしっかり落とすために、豊富な井戸水をボイラーで暖めて使用します。手もみなどを繰り返して大量のお湯や水を使ってこのすすぎは行います。新潟の井戸水は、水道水より軟水なので洗剤の落ち具合が違いますし、洗剤自体も軟水で良く落ちる物を使っています。


脱水

生地を傷めないように反物の水分をバキュームを使って生地から吸い出すようなにして、脱水しながらローラーを使って反物を巻き取って脱水します。


乾燥

生乾きの状態で、だら干しといって反物を一枚ずつ干し棒に掛けて空調をした温室で乾かします。天日干しは、色やけや乾燥しすぎて生地を傷める原因になるため一切行っておりません。


地直し

先ず、湯のし機(テンター)という大きなドラムで蒸気を出しながら、水につけて巾が詰まってしまった反物の巾だけを、広げる作業をします。

次にさらに、ピンテンターという湯のし機で、反物の端を針で布目に正確に止めてから、同様に蒸気を当てながらキチンと反物の巾や地の目をを整えます。

染み抜きのないものは、ここで洗い張りは完了です。


しみ抜き

しみ抜きご希望のお客様には、この時点で、シミの状態を確認して、さらにしみ抜きを致します。(一旦、洗い張りしないとどの程度まで汚れが落ちるかわからないためこの段階で確認してからシミ抜きを行っています。)

洗い張りしただけでは、取り切れない黄変シミや汚れもございますので、特殊な薬品や機材を使ってさらに取って行きます。


完成
反物を丸い紙の芯棒に巻いて完成です。

当店にて

出来上がり品の確認

洗い張りの出来上がり状態、シミの場所を確認してから、

お仕立てに進みます。

洗い張りの知識です。どうぞご参考になさって下さい。
洗い張りとは綿の着物などを洗濯する時に、
   生地を洗ってから張り板に張って乾かしていたことから洗い張りと呼ぶようになったそうです。

(昔は、和服の洗濯と言えば、解いて洗い張りをすることでした。洗い張りをしますと、筋や汚れも丸洗いよりキレイに落ちて、絹特有の風合いや光沢もよみがえります。古いシミ等は落ちない事や落とすのに費用が掛かることが多いですが、ついている部分によっては仕立てる時に違う場所へ移動して隠せる場合もありますので、そういうことは、仕立屋に相談なさってぜひ、洗い張りをお考えください。)

現在では、着物を解いて反物に戻してからクリーニングすることを総称して「洗い張り」と言っています。

洗い張りの仕方は、加工業者によって違いがございますが、絹物については、その性質上扱いが大変難しく、専門の業者に依頼することが、高価な着物を維持するには安全だと思います。

ただ、一言に専門業者といってもどこが本当に良い専門業者か見分けるのは難しいと思います。

当店は、長年和裁業を営んで参りましたので、仕立屋の側からの考えをお伝えしてみたいと思いますので,ご参考になれば、幸いです。

1,長年、着物生地を扱っている専門業者であること。

長く呉服を扱っている業者ほど,生地のことをよく知っていますし、多くの反物を扱っているので、過去に問題なったことなどの経験が深いからです。けっして、生地を傷めるなど問題になるようなことは致しません。

それを請け負う専門業者のことを、関東で言えば、染め屋、関西では、悉皆(しっかい)屋と言っています。反物の湯のし、湯通し、染め、洗い張り、丸洗い、染み抜き、ガード加工など反物自体を加工すること全般に仕事としている業者のことです。呉服業界では、専門家といわれてる業者です。ちなみに、悉皆とは「残らず。すっかり。全部。」と言う意味です。

ただし、丸洗いなどのドライクリーングは最近の技術ですので、溶剤など研究や専用の最新洗濯機を使用する資本力のあるところの方が安心と言えますが、着物加工専門業者でないとアイロン仕上げの技術には格差がございます。着物の仕上げはいくら機械が進歩しても手間や経験がいる仕事です。

2.解き(とき)と端縫い(ハヌイ)が、丁寧な業者であること。

昔は、お客様がご自分で、着物をほどいて来られる方も多かったのですが、最近では、自分で解く方が大変少なくなりました。(本当は、解いた時に仕立ての丁寧さや縫っている人の心遣いがわかるのですが残念なことです。昔は、染屋の主人が解いて仕立屋の善し悪しを判断していたそうです。)

でも、当然のことです。着物の解き(全部ほどくこと)って実は大変なんです。

なにしろ、袷着物では、仕立て上げるのに最低でも縫製者が20時間以上掛かっているものですから、丁寧な返し針や留めがしてあればなおさらです。
着物の仕立て方法を知らないお客様が「解き」を頑張っても、どこから解いてよいか分からないので、まず半日は掛かってしまうかも知れません。専門の人でも、3時間くらい掛かることはよくあります。

それに、一番怖いのは、留めを取る時に無理に取ると、身頃に穴を空けてしまうことです。
着物には、「留め」といってガッチリ留めていないとすぐほつれてしまう部分(袖付け、袖口、衿先、身八つなど)を頑丈に糸で縛っている場所があります。ここを解くには、コツもあるのですが、大変気を使います。古い着物の中には、糸が食い込んでしまって本当に苦労するものもあるのです。新しい着物より古い着物の方が大変危険です。穴が空くと幅を広げる時に必ず出てしまいます。
ですから、丁寧なところにお願いするのはとても大切です。

次に端縫いですが、これは解いた着物を元の反物と同じ状態にミシンでつなぎ合わせる作業です。
この作業は、反物の生地を布目を通して整えるための基礎になるものでとても重要な部分です。

どうしてかというと。

洗い張りの最後には、地直しという作業があります。この地直しは、湯のし機(テンタ)という大きなドラムで蒸気を出しながら生地を整える機械で行います。
地直しの時、最初につなげた反物の端を機械でガッチリ針で挟み、蒸気を反物に均等に当てながら生地を引っ張って地の目や巾を直します。ですが、この端縫いの作業が下手でいい加減な場合は、せっかく反物の地の目を通して裁断してあったとしてもキチンと生地のゆがみが直らないからです。途中でミシン目が外れてしまった物などはそこだけがゆがむだけでなく端縫ってつなげてある反物全体がゆがんでしまうのです。

実は、この作業が悪くて反物の地の目が曲がってしまっている物ほど、仕立屋は大変苦労します。なせなら、反物の布目が通せないものが出来てしまうからです。着物の仕立ては、出来るだけ反物の縦・横の地の目を通して作るほどキレイな仕立てになるのです。

お客様は、洗い張りと仕立てをセットでお店に依頼されますと洗い張りの出来上がりを見ることは、ほとんどありません。結局、仕立ての出来上がりだけを見て仕立てが悪いと判断されてしまいます。反物自体を出来るだけキレイに整えることが本来の悉皆業者の仕事なのですが、これが出来ない業者もございます。

だから、仕立屋が薦める悉皆業者をぜひ選んで欲しいのです。

3,洗いは熟練者に頼むべし。

端縫いの後は、専用の洗剤を使ってブラシをかけます。(※これは、業者によります。)

このブラシかけはプロでないと簡単にはけっしてできません。力加減が微妙なのです。
きものを傷つけずに、ブラシを滑らかに動かすためには、熟練の技を必要とします。
水の中にある間は、摩擦にある程度絹は耐えられますが、少しでも空気に触れた状態や半乾きの状態では、摩擦のために繊維が切れてしまうことがあります。弱った生地ならなおさらです。

絹は、摩擦に弱い繊維なのです。ですから、家庭用の洗濯するようにぎゅっと絞ったり、ゴシゴシこすったらすぐ毛羽立ってしまいます。どうしても着物を洗いたいならこすらないで叩くだけにした方が無難です。

糸を先に染めて作った紬のように硬い生地と、縮緬のような後染めの柔らかい生地ではまったく力加減が違います。
力加減を間違えるとキレイに汚れは落ちても、部分的に色を薄くしてしまったりスレを出してしまったりすることもあるのです。力加減には職人の感が大切なんです。

4,天然水を使って反物をすすぐことの出来るところ

洗いにすごく影響するというわけではないですが、洗剤をキレイに落とすときには大量の水がすすぎに必要です。ですから、天然の井戸水や川の水を使用できるところは有利です。洗剤が残ると後で絹の場合、色あせやシミの原因にも結びつきます。

洗剤を落とすためにたっぷりの水が必要ですので、水場の確保も大事です。最近は、汚水問題でたっぷり水を使えないところも多いのです。

それに洗濯には、軟水の自然水が適しています。

軟水は石けんカスが出来にくく、硬度60の水と硬度1の水では、石けんを溶かす能力に2倍の差があるように、硬水に比べて泡立ちがよくて、洗濯に適しています。ちなみに、日本の一般の水道水は、硬度80前後とされています。

5,洗い張りの値段について

上にいろいろ仕立屋からの洗い張りの善し悪しについて説明して参りましたが、

洗い張りなんて、どこでも同じ、安ければ安いほうがいいという方もいらっしゃいます。
しかし、高価な着物や、大切にしている着物はあまり安すぎるお店に預けるのはお勧めしません。

実は、着物洗い張りと一言で言っても、決まったやり方があるわけではなく、どのような方法で汚れを落とすかは、加工業者の考え方によってきまります。昔からの設備を使って職人技に頼ってやっている業者もあれば近代的な機械に設備投資して行っているところもございます。

どちらが良いかは、お客様の考え方次第ですが、当店は、昔からの伝統を守りながらも時代の進歩も研究して設備投資をしている後者に仕事を依頼しております。

激安で洗い張りをするお店は、「とにかく安く提供する」ということを一番に考えています。
お客さんにとっても、安いということはありがたいことなので、すごく良いような気がします。

でも、お店は、商売ですので、利益を出さなければなりません。
例えば、5千円代で解きから含めて袷着物の洗い張り(着物、胴裏、八掛)をして
利益を出そうと思ったら、できるだけ人件費を掛けずに作業するはずです。
着物の洗い張りや丸洗いは日本だけの狭い市場ですので、海外業者がやることはありません。日本人の人件費でやっていますので、推して知るべしです。

ただし、それを目玉にして他の物とセットすることで安くするしているところもございますので、
その辺のからくりはよくわかりませんが、ほとんどの場合は、縫製を海外に頼んでいます。
納期が2ヶ月近く掛かるところは、先ずそう考えてよいのでは・・・

最後に、洗い張りは良いものなのですが、

近年になって、普段は着物を着ないことや仕立て直すために時間やお金も掛かってしまうなどの理由もあり、着用後には、しみぬきや丸洗いで済ませるようになりました。

以前は丸洗いなどは「ひどい洗い方」と酷評されてい頃もありますが、最近はドライクリーニング技術の向上によって丸洗いも一般的になってきました。でもまだまだ、クレームの多いのもこの丸洗いです。

着物のクリーニングが必要で、お直しもお考えなら、

身丈出しを含んだ寸法のお直しの場合は、絹の風合いが蘇って綺麗になる洗い張りをなさってお仕立て直しください。前の折り筋などがキレイにできます。
身幅や裄、袖丈だけのお直しの場合、予算に応じて丸洗いとセットでご依頼ください。

着物の色や柄の流行は洋服のように多くないし、古典調の柄は古くてもすたれないからよいのです。
お手入れさえ良ければ母親や祖母が着ていた思い出深い着物を自分が着たり、自分が着ていた着物を娘さんやお孫さんが着るというように代代の使用ができます。これは、日本の古くから継承された文化なのです。

着物は1回だけの仕立てだけなら、とても高価な物です。何回か別のサイズに仕立て直すところが本当は良いところなのです。そのために、仕立屋は次のお仕立てことを考えて裁断もしますし、仕立てに気も遣っているのです。

ぜひ、良い着物は、洗い張りをなさって何回かお使いください。新たに反物を購入するよりはお得です。

料金のご案内
※留袖から襦袢まで下記料金にほどき代が、
  
2,000円プラスになります。
ご自分で着物をほどいてお持ちの方は、下の料金です。
※袷の場合 表地+八掛+胴裏の洗い張りをセットしたものが下記料金になります。留袖は、それに比翼の洗い張りがプラスされた料金です。
品物 料金(税抜き 備考
留袖 比翼付き 10,000円
振袖 8,500円
袷着物袷小紋・訪問着・付下げ・大島紬類・無地・冬喪服等) 8,000円 汚れやシミがひどいために胴裏や八掛の洗い張りが不要の場合 各1,000円引きです。
袷羽織・道行き・道中着 6,500円
単衣着物類 5,500円
単衣羽織・道行き・道中着 5,500円
長襦袢(袷) 5,500円
長襦袢(単衣、居敷当て付き 4,500円
帯類 6,500円 帯は、解き代込みです。
※袷の場合、胴裏、八掛などの裏地が汚れなどで交換のため不要な場合は、各1,000円引きとなります。
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