きもの寸法の決め方
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きもの寸法の決め方

1)身丈 ・・・・女物はおはしょり分があるので、身長分を背からの身丈に作るのが基本です。腰ひものとめる位置で個人差が多少ありますので、着慣れてきてから正確に自分の好みで上がり丈を決めていくと良いでしょう。

2)裄(ゆき)・・・ 下の図を参考に決めて下さい。

3)腰回り・・・・・・ 下の図の要領で腰回りを測り、身巾寸法表で割り出してください。

 先ずこの三つの寸法を基本にすれば、きもの寸法は決められます。
その他、袖丈、袖口、袖付け、繰越などは、標準の寸法が大体決まっていますので、好みに応じて少し加減するだけで良いでしょう。

きもの寸法は、洋服と違ってまとうものですから、昔からある程度許容範囲をもって寸法を出しています。つまり、洋服ほどピッタリの寸法には決めていないのです。
ただし、着慣れるほど、着る方の好みで、寸法が決まってくるものですから、それによって正確にしていけば良いと思います。
        

ヒップ寸法に合わせた身巾、衽巾の目安
ヒップのサイズ 衽巾 前巾 後巾 備考
80〜83cm 4寸0分 5寸8分 7寸3分 大人物の場合は、極端に細く見えるため、子供物のように狭くは作りません。合褄巾などで調節します。
84〜87cm 4寸0分 5寸8分 7寸5分
88〜90cm 4寸0分 6寸0分 7寸5分 女並み寸法といって一般的な寸法。
91〜94cm 4寸0分 6寸3分 7寸8分
95〜99cm 4寸0分 6寸5分 8寸0分 男並み寸法といって訪問着などの柄付けは、大体この寸法でできています。
100〜103cm 4寸0分 6寸8分 8寸3分
104〜106cm 4寸0分 7寸3分 8寸5分
109〜111cm 4寸2分 7寸5分 8寸8分
112〜115cm 4寸2分 8寸0分 9寸0分
116〜118cm 4寸2分 8寸5分 9寸2分
119〜122cm 4寸3分 8寸7分 9寸5分 反物の巾がない場合は出来ません。

※上記の寸法表は、絵羽物以外の小紋類での一般的な目安です。ヒップの形や体型などで若干調節が必要な場合もございます。また、訪問着などの絵羽物は、柄付けの関係にご注意ください。( 身巾が広い場合は反物の巾があっても柄のつながりが切れてしまって、ご要望の身巾寸法に出来ない物もございます。) 合褄巾や抱き巾などの細かな寸法は、仕立て屋と相談してお決めになると、よりご自分にあった寸法に近づけられるはずです。
以下参考として

 尺貫法の知識

尺や寸のような日頃なじみのない単位は一見わかりにくいものですが、一度理解してしまえば簡単です。まずは、感覚的に1尺は、約38cmと覚えてください。

着物寸法は、戦後一時期、尺貫法の廃止のために、cmで仕立てられていた時期もありましたが、現在は、洋裁業者でなければ、ほとんど尺差しを使って戦前の尺を基準に仕立てをしています。日本人であれば、ぜひ、日本基準の尺貫法を覚えて頂きたいと思います。

尺には、現在使用されているもので、1)鯨尺と2)曲尺(かねじゃく)の2種類があります。和裁では、ほとんど鯨尺を使用しておりますが、東北地方のように曲尺を使用している所もあります。

鯨尺の寸法> *曲尺は、和裁ではあまり一般的ではないので、鯨尺の説明をします。

     身丈=身長=152cm×2.64=401=4尺0寸1分

   難しく考えないでください!

     簡単に cmの寸法 × 2.64 が鯨尺です。

     この 2.64 という数字を覚えていれば簡単です。

     電卓で計算すればいいのです。(笑)

  ちなみに 袖丈   1尺3寸 ≒49cm×2.64=129.36

        袖付  5寸5分 ≒21cm×2.64=55.44

        袖口     6寸 ≒23cm×2.64=60.72

    かけ算して電卓に出てきた数字を尺に置き換えてください。

*かけ算をすると小数点以下の端数がでてきますが、和裁の場合布を扱っておりますので、置き方によってもそのくらいの誤差は出ます。一分(3mm)以下の誤差は、あまり気にしなくても良い誤差です。

誤解のないように申し上げますが、仕立る時に入れるヘラ寸法の裏表の誤差は、非常に精密な所があります。ですが、仕上がってからの寸法は、置き方や測り方、生地のつまりによって誤差があると言うことです。着用の時に問題になるのは5mm以上の誤差ですので、ご心配なくお願いします。

●身丈と着丈の違い

・身丈とは、きものの出来上がりの長さのことです。(身丈とは、一般的に背からの寸法のことです。ただし、極端に繰り越しが大きくない場合です。)

・着丈とは、着付けた時のきものの長さのことです。

女性の場合は、身丈−着丈は、おはしょり分になります。
男性の場合は、おはしょりをしないで着ます(つったけで着る)ので身丈=着丈になります。

*着丈寸法は、背のぐりぐりから着用の時に決める裾の位置(くるぶしの下くらい)までを測ります。

●背からの身丈と肩からの身丈

背からの寸法は、背縫いの上はえり付け線から裾線までの寸法です。肩からの寸法は、肩山から裾線までの寸法です。
・肩からの身丈−背からの身丈=繰越+付け込み(縫い代) になります。

袖丈・袖巾について

・袖丈は、標準を1尺3寸(49cm)として、それから好みに合わせて加減すれば、いいでしょう。
きものを普段着に着る方は、あまり長いと邪魔になるため少し短めの1尺2寸くらいにしたり、元禄袖といって丸みを大きくする方もいます。若い人は、少し長めの1尺4寸から1尺5寸くらいにするのもいいでしょう。

・袖巾は、裄丈の長さからバランスを取って決めています。洋裁のように、実際の肩巾に合わせていれば、袖巾が長くなりすぎて反巾が足りません。
袖巾と肩巾の割り振りは、後巾と肩巾との差が極端にならないようにできるだけバランスをみて決めた方が良いです。

・参考   コート類は着物より 袖は5分位短く、裄は2分ほど長くします。

●裄丈について

・最近は、昔に比べて、裄を長く着る方が多くなりましたが、反物の巾いっぱいで裄を割り出す時の目安を説明します。

仕立ての時には、必ず縫い代が必要です。この縫い代がどのくらいで出来るかが、反物によって違うので、難しいのです。

簡単には、反物の巾から6分(3cm)を引いた寸法が大体のギリギリと覚えましょう。

 例えば、反巾 9寸8分(37cm)−6分(3cm)=9寸2分(34cm)といった具合です。

   肩巾9寸2分+袖巾9寸2分=裄1尺8寸4分がいっぱいです。 

但し、注意として 反物には、両端の耳という部分があります。この部分が太い大島紬の反物の場合や紬でなくても耳の糸がきつくて詰まっているような反物は、あまり耳の近くをギリギリに縫えません。なぜなら、袖口や振り、背縫いがつれてビリ付く原因となって仕上がりが悪くなる可能性があるからです。

正確に言うと 耳の巾が1cmならば、その切れ目から3mmほど中に入った所からもう一方の同じ位置までの長さと考えてください。これは小紋の場合ですが、訪問着などのように柄のつながりが袖付けにある場合は、この限りではありませんのでご注意下さい。       

●身巾寸法について

前巾・後巾の寸法は、腰回り(ヒップ)寸法を元にして割り振りした寸法表を元にして決めて下さい。

寸法表の寸法は、実際のヒップ寸法よりは、少しゆとりを持たせて決めてありますので、1cmぐらいの誤差は気にする必要はありません。
ゆとりを持たせているのは、メジャーで測るようにぴったしの寸法にすると立ったり座ったりした時に余裕がなく、すぐ、着くずれてしまう原因になるからです。

☆前巾と後巾寸法の標準的なバランスは、

      ・女並寸法 前巾60 後巾75  
      ・男並寸法 前巾65 後巾80   

          のように後巾−前巾が1寸5分になるようにしています。

これは、この差がえり付けの関係から、一番きれいにできる寸法のバランスだからです。

あまり極端に前巾ばかり広くした寸法は、えり付けの関係から抱き巾が広くなりすぎる場合がありますので、ご注意下さい。

普通の体型の方で、お茶やお花の稽古ように前巾を少し広くして、作られる方は、抱き巾が広くなりすぎないように仕立て側に申し伝えることをお勧めします。

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